クリスマスの夜、
子どもたちの目は、いつもより少しだけ遠くを見つめているように感じます。
ツリーの光、プレゼントの包み、
そして「これから何かが起こりそう」という期待。
そのまなざしには、大人がいつのまにか忘れてしまった
“信じる力”が、まだまっすぐに残っています。
子どもにとって映画は、
ただの娯楽ではなく、
世界の見え方をそっと形づくる入口のようなもの。
だからこそ、
その小さな心に映る物語が、
優しさや希望、
「誰かを大切にする気持ち」で満ちていてほしいと、
つい願ってしまいます。
家族で並んで座り、
同じ場面で笑ったり、
ちょっとハラハラしたり、
気づけば大人のほうが涙ぐんでいたり。
そんな時間は、
写真には残らなくても、
家族の記憶の奥に、あたたかく灯り続けるものになります。
私自身、
子どもの頃に家族と観た冬の映画のワンシーンを、
今でもふとした瞬間に思い出すことがあります。
内容を完璧に覚えているわけではないのに、
「あのとき、安心して笑っていた」という感覚だけが、
不思議と残っている。
それこそが、
子どもと映画を観る時間のいちばんの贈り物なのだと思います。
ここで紹介するのは、
刺激が強すぎず、
でも決して退屈ではない作品たち。
子どもが安心して物語に身を委ねられ、
大人もまた、
どこか懐かしい気持ちで画面を見つめられる
「親子の時間にちょうどいい温度」のクリスマス映画を選びました。
子どもにとっての“はじめての感動”は、
そのまま家族にとっての大切な思い出になります。
どうかこの冬、
映画の中の小さな奇跡が、
あなたの家のリビングにも、
そっとやさしい灯りをともしてくれますように。
子どもと観るクリスマス映画|厳選3本

子どもと一緒に観る映画を選ぶとき、
ただ「楽しいかどうか」だけでなく、
その物語がどんな余韻を残すのかを、
つい考えてしまいます。
ここでは、
怖すぎず、説教くさくもなく、
それでいて心に大切なものをそっと置いてくれる
クリスマス映画を選びました。
① アーサー・クリスマスの大冒険(2011)
原題: Arthur Christmas
監督: サラ・スミス
【あらすじ】
世界中の子どもたちにプレゼントを届ける、
完璧にシステム化されたサンタクロースの巨大チーム。
けれどある年、
たったひとりの少女へのプレゼントが配られないという
“小さくて大きな失敗”が起きてしまう。
それに気づいたサンタの息子アーサーは、
最新技術ではなく、
古いソリとトナカイを頼りに、
少女のもとへ向かう冒険に出る。
【感想・深掘り】
この映画が素晴らしいのは、
「効率」よりも
「たった一人を想う気持ち」を
物語の中心に据えているところです。
何度転んでも、
周囲に無理だと言われても、
それでも諦めないアーサーの姿は、
子どもには“まっすぐな勇気”として、
大人には“忘れていた思いやり”として胸に届きます。
観終わったあと、
「誰かひとりのために動くことって、こんなに尊いんだね」
そんな会話が自然に生まれる、
家族向けクリスマス映画の理想形です。
② ポーラー・エクスプレス(2004)
原題: The Polar Express
監督: ロバート・ゼメキス
【あらすじ】
クリスマスイブの夜。
サンタクロースの存在を疑い始めた少年の前に、
北極へ向かう不思議な列車「ポーラー・エクスプレス」が現れる。
少年は半信半疑のまま列車に乗り込み、
旅の中で“信じること”の意味を、
少しずつ体感していく。
【感想・深掘り】
子どもが成長する過程で、
必ず訪れる「疑いの瞬間」。
この映画は、その変化を否定せず、
とてもやさしい距離感で描いてくれます。
映像は少し幻想的で、
現実と夢の境界が溶け合うような感覚。
だからこそ、
信じることと、考えることは両立できる
というメッセージが、
子どもの心にも自然に届きます。
親子で観ると、
「サンタって本当にいるのかな?」という問いが、
正解探しではなく、
想像を楽しむ会話に変わっていくはずです。
③ グリンチ(2018)
原題: The Grinch
監督: ヤーロウ・チェイニー、スコット・モシャー
【あらすじ】
クリスマスが大嫌いな、ひねくれ者のグリンチ。
彼は街の人々からクリスマスを奪おうと、
プレゼントも飾りもすべて盗む計画を立てる。
しかし、
無邪気でまっすぐな少女シンディ・ルーとの出会いが、
彼の凍りついた心に小さな変化をもたらしていく。
【感想・深掘り】
この映画は、
「意地悪な人は、もともと悪い人なのか?」
という問いを、
子どもにもわかる形で投げかけてくれます。
グリンチの孤独と、
シンディ・ルーの見返りを求めない優しさが交わるとき、
赦すこと・受け入れることの力が
とても自然に伝わってくる。
家族で観たあと、
「どうしてグリンチはあんな気持ちだったんだろうね」
そんな対話が生まれる、
心の距離を近づけてくれる一本です。
子どもと一緒に観るときの“年齢別ポイント”

子どもと映画を観る時間は、
ただスクリーンを眺めるだけのものではなく、
「その子が、今どんな世界の見え方をしているのか」を
そっと知るきっかけにもなります。
年齢によって心に響くポイントは大きく変わるため、
作品選びを少しだけ意識してあげると、
映画体験はぐっと豊かなものになります。
-
3〜6歳:
この時期の子どもたちは、
物語の筋よりも「色」「音」「動き」に心を奪われます。
『アーサー・クリスマスの大冒険』や『グリンチ』のように、
カラフルでテンポがよく、
感情がわかりやすい作品がおすすめ。
細かな理解よりも、
「楽しかったね」「かわいかったね」と
感覚を共有することが、いちばんの収穫です。 -
7〜10歳:
想像力がぐっと広がり、
冒険や選択の意味を考え始める年齢。
『ポーラー・エクスプレス』のような旅の物語は、
「信じるってどういうこと?」
「本当かどうかって何で決めるんだろう?」
そんな問いを自然に芽生えさせてくれます。
観終わったあとに感想を聞いてみると、
思いがけない言葉が返ってくることもあります。 -
10歳〜:
他人の気持ちや、
物語の裏にある感情の揺らぎを感じ取れるようになる頃。
同じ『ポーラー・エクスプレス』でも、
小さい頃とはまったく違う印象を受けることがあります。
信じる心が揺らぐ不安や、
大人へ近づく戸惑いに、
そっと寄り添ってくれる映画として、
静かに深く響くはずです。
年齢はあくまで目安。
同じ年でも、
感受性や興味の方向は一人ひとり違います。
だからこそ、
「この子はいま、どんな物語を必要としているかな」
と想像しながら選ぶ時間も、
クリスマスの大切な思い出の一部になるのだと思います。
配信サービスで観られる可能性(目安)
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子どもと一緒に映画を観るときは、
「観たい」と思ったその気持ちを逃さないことも、とても大切。
特に小さな子どもは、
その日の気分や体調で集中力が大きく変わります。
だからこそ、すぐ再生できる配信サービスは、
家族の冬の夜にとって心強い味方です。
-
Netflix:
『グリンチ』『ポーラー・エクスプレス』など。
テンポの良い作品から、
少し想像力を刺激する物語まで幅広く揃っていて、
年齢差のある兄弟姉妹でも選びやすい印象です。
「今日はどれにする?」と一緒に探す時間も、
小さな楽しみになります。
-
Amazonプライム:
『アーサー・クリスマスの大冒険』など。
物語性がありながらも、
子どもにもわかりやすい作品が見つかりやすく、
親子で同じ場面に笑ったり、
ほっとしたりできるラインナップが魅力です。
-
Disney+:
今回紹介した作品が常にあるとは限りませんが、
子ども向けの安心感ある作品がとても豊富。
初めて映画を観る年齢の子や、
刺激が強すぎない作品を選びたい夜には、
まずのぞいてみたくなる場所です。
-
Hulu:
アニメーション作品や名作系が比較的多く、
少し落ち着いた雰囲気の映画を選びたいときに向いています。
クリスマスの夜を、
静かにゆったり過ごしたい家族にもおすすめです。
※配信状況は時期や地域によって変動します。
視聴前に各サービスの公式情報をご確認ください。
大切なのは、
「どのサービスで観られるか」以上に、
「その夜の家族の空気に合っているかどうか」。
無理なく、あたたかく、
その日の気分にいちばん寄り添う一本を選んでみてください。
子どもと映画を観るあなたへ

子どもと並んで映画を観る時間は、
ただ同じ画面を見ているだけのようでいて、
実はその瞬間にしか生まれない、特別な記憶だと思います。
物語に引き込まれて、
いつの間にか呼吸までそろっているような感覚。
驚いたときの目の丸さや、
笑いをこらえきれずにこぼれる声。
ふとした場面で、
小さな手がそっとこちらを探して、ぎゅっと握ってくる——
そんな何気ない瞬間が、
大人の心までやさしくほどいてくれることがあります。
子どもは映画の中から、
物語そのものだけでなく、
誰かを思いやる気持ちや、
失敗してもやり直せるという感覚、
そして「信じてもいい」という安心感を、
自然に受け取っていきます。
でも同時に、
その時間は大人にとっても、
忘れかけていた感情に触れ直す機会なのだと思います。
先のことを考えすぎず、
評価も正解も気にせず、
ただ物語に身を預ける。
子どもの隣で映画を観ていると、
そんな「まっすぐな時間の流れ」を思い出させてもらえる。
どうか、うまく観せようとしなくて大丈夫です。
最後まで集中できなくても、
途中で眠ってしまってもいい。
その夜に流れた空気ごと、
きっと心のどこかに残っていきます。
映画を通して、
あなたの家族の冬が、
静かで、やさしく、豊かな時間になりますように。
関連記事
一本の映画を観終えたあと、
子どもの表情や、ふとしたひと言が、
いつまでも胸に残ることがあります。
「あの場面、好きだったね」
「あれ、ちょっと怖かった」
そんな何気ない会話が、
映画の時間を“思い出”へと変えていく。
ここに並べた関連記事は、
その余韻を大切にしながら、
次の一歩をやさしく手渡してくれるページです。
涙が残っている夜も、
もう少し温かさがほしい夜も、
家族の気分に近いものを、
無理のない順番で選んでみてください。
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子どもと一緒に、感情をそっと共有したい夜に。
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大きな出来事はなくても、胸に灯りが残る物語たち。
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気分やシーン別に選べる、冬映画の入り口。
※配信状況は記事執筆時点の情報です。
視聴前に、各配信サービスの最新情報をご確認ください。



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