冬は好き。
イルミネーションも、澄んだ空気も、
夜が長くなる感じも嫌いじゃない。
それでもふとした瞬間、
理由もなく胸がつまる夜があります。
そんなとき、
心を深くえぐる感動作や、
人生を問い直す重たい物語は、
少しだけ荷が重いこともある。
今ほしいのは、
考えすぎずに、ただ笑わせてくれる一本──
そんな夜も、確かにあるのです。
笑えるクリスマス映画の魅力は、
笑いそのものよりも、
笑ったあとに残る“心の軽さ”にあります。
肩の力が抜けて、
呼吸が少し深くなって、
気づけば部屋の空気まで柔らかくなっている。
ドタバタの中に隠れた優しさや、
バカバカしい会話の奥にある人間味。
クリスマスという季節だからこそ、
そうした軽やかな物語は、
心にちゃんと届いてくれます。
ここでは、
笑いながら観ているはずなのに、
観終わるころにはどこか温かい。
心がふっと軽くなる、笑えるクリスマス映画を
そっと集めました。
今夜はどうか、
難しいことは考えず、
映画と一緒に、少しだけ笑ってみてください。
笑って明るい気分になれるクリスマス映画|厳選3本

笑える映画の中にも、いろいろな種類があります。
声を出して笑うもの、くすっと頬が緩むもの、
そして、笑いながら心の奥が少しずつ軽くなっていくもの。
ここでは、そんな「後味まで明るい笑い」を残してくれる
クリスマス映画を選びました。
① エルフ 〜サンタの国からやってきた〜(2003)
原題: Elf
監督: ジョン・ファヴロー
【あらすじ】
北極でサンタの仲間として育てられた、
どこまでも素直で、どこまでもまっすぐな存在・バディ。
ある日、自分が“人間”であることを知った彼は、
実の父に会うため、雪と魔法の世界から
現実的な大都会・ニューヨークへと飛び出していく。
けれど、そこに待っていたのは、
効率や常識が優先される大人の世界。
バディの純粋すぎる行動は、
ときに街中を巻き込む騒動を引き起こし、
周囲を戸惑わせてしまう。
それでも彼は、自分の信じる“クリスマスの在り方”を
決して手放さない。
【感想・深掘り】
この映画の笑いは、
誰かを茶化したり、皮肉るものではありません。
「こんなにも真剣に、世界を信じていいんだ」
そう思わせてくれる、まっすぐな可笑しさ。
バディの“全力で信じる心”は、
大人になる過程で少しずつ身につけてきた
照れや疑いを、ひとつずつ外してくれます。
彼の行動を笑いながら眺めているうちに、
気づけば胸の奥の固くなっていた部分が
ゆっくりとほどけていく。
「あぁ、クリスマスって、
こんなふうに信じてよかった季節だった」
そんな感覚を思い出させてくれる一本。
声を出して笑ったあと、
心まで少し明るくなっている──
冬の夜にちょうどいい、
やさしい処方箋のような映画です。
② バッドママのクリスマス(2017)
原題: A Bad Moms Christmas
監督: ジョン・ルーカス & スコット・ムーア
【あらすじ】
育児に仕事、家事に人間関係。
ただでさえ忙しい日常の中で、
12月になるとさらにのしかかってくる
「ちゃんとしたクリスマスを過ごさなければ」という見えないプレッシャー。
主人公たちもまた、
周囲の期待に応えようと無理を重ね、
気づけば自分の気持ちを後回しにしてしまっている。
そんな彼女たちが思い切って口にするのが、
「もう完璧なクリスマスなんて、やめよう」という言葉。
ところがそこへ現れるのは、
それぞれの“過干渉ぎみな母親たち”。
善意のつもりで踏み込んでくる言葉や態度が、
さらに事態をこじらせ、
クリスマスは一気にカオスな方向へ転がっていく。
【感想・深掘り】
この映画の笑いは、
ただのドタバタコメディではありません。
大声で笑わせながら、
「頑張りすぎなくていいんだよ」と
そっと肩の力を抜かせてくれる。
とくに印象に残るのは、
母と娘の関係にひそむ、言えなかった本音。
「ちゃんとした親でいなきゃ」
「期待に応えなきゃ」
そんな思いが、どれほど無意識に心を縛っているのかを、
笑いの中で浮かび上がらせていきます。
観終わるころには、
胸の奥に溜まっていた息が、ふっと抜ける。
完璧じゃなくていい。
ちゃんと楽しめなくてもいい。
「笑えたなら、それで十分」──
ストレスが溜まりがちな12月にこそ効く、
笑いが救いになることを思い出させてくれる一本です。
③ グレムリン(1984)
監督: ジョー・ダンテ
【あらすじ】
あるクリスマス、ビリーのもとに贈られたのは、
モグワイと呼ばれる、どこか無垢で愛らしい不思議な生き物。
ただし、そこにはいくつかの絶対に破ってはいけないルールがあった。
「水をかけないこと」「強い光を当てないこと」、
そして何より——「夜中に食べ物を与えないこと」。
しかし、ほんの些細な油断からその約束は破られ、
かわいらしかったモグワイは次々と増殖。
やがて街を騒がせる“悪戯好きの怪物・グレムリン”へと姿を変えていく。
クリスマスムード一色だった街は、
混乱と騒動に包まれていくが、
その裏側にはどこか可笑しく、目が離せないユーモアが潜んでいる。
【感想・深掘り】
この映画はホラーの顔をしながら、
実は「クリスマスの浮かれすぎた空気」に、ひと匙の毒を落とす作品です。
無条件に幸せであることを求められる季節に、
「そんなにきれいごとばかりじゃないよね」と
いたずらっぽく笑いかけてくる。
グレムリンたちは怖い存在でありながら、
どこか憎めない。
映画館で観ていても、
思わず「こいつら、好き勝手やってるな」と
笑ってしまう瞬間が何度も訪れます。
その感覚こそが、この作品の魔法なのだと思います。
王道の感動も、
きれいに整えられたクリスマスも、
今日は少し重たい。
そんな夜に、この映画はちょうどいい。
ブラックジョークのような風を
心に通してくれる、
クリスマスが少し苦手な人にも、
そっと居場所を用意してくれる変化球の一本です。
気分別・笑えるクリスマス映画の選び方

「笑いたい」と思う気持ちにも、実はいくつかの種類があります。
無邪気に笑いたい夜もあれば、
たまった疲れを一気に吐き出したい夜、
あるいはクリスマスそのものに少し距離を置きたい夜もある。
ここでは、今の心の状態にそっと寄り添う
笑えるクリスマス映画の選び方をまとめました。
無理に元気にならなくても大丈夫。
その日の気分に合った笑いは、自然と心を軽くしてくれます。
-
純粋な笑顔を取り戻したい夜 → エルフ
計算のない優しさや、信じる気持ちに触れたいときに。
笑っているうちに、
大人になる途中で置いてきた感覚を思い出させてくれます。 -
ストレスを思いきり吹き飛ばしたい夜 → バッドママのクリスマス
頑張りすぎている自分に、
「今日はもう十分だよ」と言ってあげたいときに。
笑いながら、肩に乗っていた荷物を下ろせる一本です。 -
クリスマスが少し苦手な気分の夜 → グレムリン
きれいごとに疲れてしまったときの、ちょうどいい逃げ道。
ブラックユーモア混じりの可笑しさが、
「それでもいいじゃない」と気持ちを軽くしてくれます。
どの作品も、
大きな元気を押しつけてくることはありません。
ただ、心の重さを少しだけ軽くしてくれる。
それだけで、冬の夜はずいぶん過ごしやすくなります。
今すぐ観られる配信情報(目安)
「今夜、このまま映画を観たい」
そんな気分を逃さないために、
笑えるクリスマス映画が見つかりやすい
配信サービスの目安をまとめました。
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Netflix:
『グレムリン』など(※国や時期により変動あり)。
少しクセのある作品を選びたい夜に。
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Amazonプライム:
『エルフ』『バッドママのクリスマス』など。
王道コメディから大人向けまで幅広く揃います。
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Disney+:
今回紹介作は未配信の場合あり。
ファミリー向けの軽やかな作品を探すときに。
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Hulu:
名作系、80〜90年代作品が比較的多め。
少し懐かしい笑いに浸りたい夜に向いています。
※配信状況は変動します。視聴前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
冬の夜に、笑うあなたへ

笑いには、不思議な力があります。
状況が劇的に変わらなくても、
心の向きだけを、そっと変えてくれる力。
落ち込んでいるときも、
もう何もしたくない夜も、
たったひとつの笑顔が、心を“救う方向”へ動かすことがあるのです。
クリスマス映画の笑いは、
声をあげて笑わせるだけのものではありません。
どこか不器用で、少し間が抜けていて、
それでも人を思う気持ちがちゃんと残っている。
だからこそ、その笑いには
やさしさの温度が含まれているのだと思います。
真面目に頑張りすぎた日ほど、
笑うことに、少し罪悪感を覚えてしまうことがあります。
でも、笑うことは逃げではなく、
心を立て直すための大切な呼吸。
もし今夜、胸の奥がすこし重たいなら、
どうか一本、軽やかな映画を選んでみてください。
何も考えずに笑って、
気づけば呼吸が深くなっている。
それだけで、冬の夜は
ちゃんと乗り越えられる夜になります。
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映画を観終えたあと、
心の中にふわりと残る感情があります。
笑いの余韻だったり、
少し軽くなった気持ちだったり、
あるいは「もう一本、違う物語に触れてみたい」という静かな衝動。
ここに並べた関連記事は、
そんな余韻の続きを、
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笑ったあとに、感情をもう一度ゆっくりほどきたい夜へ。
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▶ クリスマスが苦手な人へおすすめの映画
きれいごとから少し距離を置きたいときの、やさしい逃げ道。
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笑顔と安心感を、同じ時間の中で分かち合いたい夜に。
※配信状況は記事執筆時点の情報です。最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。



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